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多くの人が行き交う駅の改札
僕はそんな改札から視線を外す事なくを柱に背を預ける
まだ約束の時間まで30分近くあるのに
僕は君の姿を捜す
まだ来るはず無いのに
こんな落ち着かない自分自身に失笑しながら僕は落ち着かせるように周囲に少し視線をやった
周りは僕と同じように誰かを待つ人達が多くいる
皆
誰を待っているんだろうか?
恋人?
友人?
家族?
僕と同じく会いたい相手を待っているんだろう
人を待つことが
こんなにも心弾むものなのだと
僕は久しぶりに知った
君に出会えたからこそ
思い出せた
脳裏に浮かぶ君に僕は心の中で
「ありがとう」
とお礼を言ってみた
そんな自分にまたまた失笑してしまう
腕時計に目をやると待ち合わせの時間まで後5分
僕は
さっきより多くの人が行き交う改札に目をやる
その人々の中に君の姿を見つけた
君も僕に気づいて
一瞬驚いた表情の後に笑顔になり人を掻き分けて僕の方へ向かう
僕も同じく君の元へ向かう
「待った?」
との君の言葉に
「いや、今来たところだよ」
と罪の無い嘘をついた
僕が差し出した腕に君の腕がくまれる
僕たちは
改札へ向かう人の流れに逆らうように駅の出口へと向かった
僕にとっては君を待つ時間から幸せなんだ
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