モンブラン

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目の前でただ泣きじゃくる彼女に どうすることも出来ず黙り込む僕。 周りからは好奇心をもった視線が痛い。 泣いたきっかけは些細な口論。 泣くほどのことじゃないと思うが、現に目の前で彼女は泣いている。 こうなると どうしようもないことはいつもの事。 僕はタバコに火をつけて 煙をいっぱい吐き出した。 少しでも 泣いてる彼女を周りからの視線から、 遮れるように。 少し泣きおさまった頃に 僕はおもむろに席を立ち レジに向かう。 彼女の涙を完全に おさめるためには あるものが必要。 「モンブラン一つ」 僕は店員に いつものように頼む。 涙を拭う彼女に 差し出すと さっきまでの泣き顔が嘘のような笑顔になる。 もうこれで大丈夫。 カフェを出ると 彼女の手が僕の手に重なった。 モンブラン これが彼女を笑顔にさせる特効薬
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