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今年の年末
僕は三年振りに
故郷に帰ってきた。
周りは僕と同じように
帰郷した人達が駅を沢山のお土産袋をぶら下げて行き交う。
誰も迎えに来ることの無い
僕はゆっくりとした歩みで駅の出口へと向かう。
「おい!」
誰かが呼ばれている。
「おい!待てって!」
そんな乱暴な声と共に僕の腕がひかれた。
僕が驚いた顔で振り返るとそこには少し怒り顔の君がいた。
「どうして…」
帰る連絡はしてない君がここにいることに戸惑い言葉が続かない。
「おばさんに聞いたら今日帰ってくると聞いたから待ってた。それなのにお前は呼んでるのに気づかないんだからさ。全く都会に行くと冷たい人間になるもんだな」
君は昔と変わらない女の子としては乱暴な言葉で口早く僕の疑問に答えてくれた。
ちょっと厳しいおまけがついてたけど。
「そうだったんだね。人多くて気づかなかった。ごめんな」
少し苦笑いしながら謝ると君は小さい声でいう。
「別にいいけど」
なぜかまだ僕と目を合わせないようにしてる君に僕はもうひとつの疑問を聞いてみた。
「でも本当にどうした?わざわざ迎えにきてくれたの?」
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