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「寒いから入れてよ」
「お、おう..」
性格は少々きつい幼なじみの言うことに逆らえず新弥は幼なじみ、坂口咲人を家に入れた。
突然家に入って来た知らない人間をむぐむぐと口を動かしながらキョトンと見ている。
それはそうだ。
今は早朝なのだから。
黄泉は首を傾けそれでもにこっと笑顔を見せ好意を見せた。
それを見た咲人は一瞬眉を潜め整った笑顔でどうも、と挨拶をした。
「新弥、同棲してたんだ。
彼女?」
新弥の方に向き直しそう問いた。
すると新弥は一瞬ぽかんとして小さく吹き出した。
「俺も最初間違えたけど、
あいつ男だよ。」
そう言いながらテーブルに向かう椅子に座る。
そして黄泉の頭をくしゃっと撫で美味いか、と優しく問いかければ黄泉は愛らしい笑顔で頷いた。
してきた行為にも負けず彼の心はとても綺麗で純粋だ。
それがたまらなく愛おしくて、
放したくなくて、
そんな感情は大きくなるばかりで。
「あ。
そうだ咲人、お前も飯いるか?」
「...俺はいいや。
邪魔物は消えるよ。」
笑顔でこたえた。
その瞳の闇には
気付かなかった。
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