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love and hatred~お迎え
君と離れたくはない。
それは非日常なのだろうか。
-----episode three-----
黄泉の不安感も緊張感もなくなってきてすっかり新弥に懐いてきた、
そんな日の朝のこと。
黄泉は、寒いはずなのに新弥の貸したコートを素肌に着て寝ていた。
新弥に抱き着いて放れず、幸せそうに。
一方の新弥は一回り小さなものに締め付けられる感覚に目を覚ました。
ぎゅう
と強く抱き着いているため身動きはとれない。
この小さな身体のどこにそんな力があるんだろう。
柔らかい頬を指で突いてやると小さく呻いて眉を寄せた。
それが面白くて何度も突くとやがて重たい目が開かれた。
「オハヨ」
クスクスと笑いながら言うと黄泉はふにゃっと笑いおはよーと返した。
それが愛しくてぎゅ、と抱きしめてやれば応えるように返してくる黄泉。
これ以上の幸せはない。
と、その時玄関の方で大きい物音がした。
慌てて抱き着いている黄泉を引き離し起き上がった。
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