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何よりも強いもの。
それは愛。
-------episode four--------
車に乗せられどれくらい経っただろう。
車が止まる気配がした。
真っ暗で
回りの様子も見えなくて
新弥は黄泉を心配していた。
あんなに怯えていた黄泉。
大丈夫だろうか。
パニックに陥ってないだろうか。
ガチャ、という音とともに光が入ってきた。
「出てください」
眩しくて片目を瞑りながら辺りを見渡した。
そこには縮こまった黄泉がいた。
「043番も出なさい」
何故だろう。
黄泉への扱いの方がきつい気がする。
新弥は少しむっとしたが堪えた。
そして黄泉に手を差し延べ素直に手を取る黄泉と一緒に新弥は車を降りた。
どこなのかわからないほど広大な土地。
回りは、山?森?
でかくて白い建物が寂しく建っている。
新弥はそれを見上げた。
「黄泉..ここで育ったのか..?」
ふっと視線を落とし黄泉を見下ろした。
黄泉はコクリと頷いた。
乗り気じゃない。
当然か。
「こっちです」
白衣の人間は新弥にそう言って背を向け歩き出す。
新弥は黄泉の手をぎゅっと握り後ろに隠すようにしながらついていった。
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