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寝るときは相変わらず布団ひとつ。
黄泉が慣れたこともあり堂々と同じ布団に潜って寝ている。
唇の触れそうな距離。
いつもひとりだった。
可愛い寝顔がそこにいるだけでだいぶ違った。
目を細めて隣の穏やかな寝顔を見ている。
この感情はなんだ。
慣れてきたとはいえ経過した時間は今の時点でまだ2週間といったところだった。
でも少し考え込めば思考回路の末端には答えが見えている気がした。
俺は黄泉を手放したくはない。
これはなんだ?
やっぱりこいつのことが...
瞬きを一瞬。
そのつもりだったのだが。
ふと目を開けるともう外が明るくなっていた。
自分は一瞬で寝てしまっていたんだ。
寝た気がしなくて少し怠い。
バイトは入ってないが朝ご飯を作らなければならない。
黄泉の生活リズムを崩してはいけない。
そう思い新弥はキッチンへ向かった。
軽く目玉焼きを作り焼き上がったトーストに添えてテーブルに並べた。
あとは温かい飲み物。
二人分のコーヒーを煎れ、1つはとても甘くなるように。
準備が終わると黄泉を起こしに行く。
それも日常になりつつあった。
寝ぼけ眼でおはよう、などと言われるとそれだけで幸せだ。
単純でもいい。
黄泉が来たことで生活がうんと楽しくなった。
黄泉と新弥は他愛のない話をしていた。
すると、インターホンが鳴った。
「ん..ちょっと出てくる」
黄泉にそう言って新弥は鍵を開けそっとドアを開いた。
ドアの前には細身で一見女性のような綺麗な顔立ちをした新弥の幼なじみがいた。
「や。
久しぶり。」
「お、おう..」
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