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「フン」
ダゴンは少年を地面に叩きつける。
草が生えているとはいえ、叩きつけられた衝撃は物凄く、少年は口から血を吐き出した。
「つまらねェな、オマエ」
腹ばいのまま母親に近づこうとする少年を見下したように睨み、ダゴンは呟いた。
「どうしますか、ダゴン様」
横合いから仮面を被った兵に声をかけられる。
正直、ダゴンは茶番に付き合うつもりなど毛頭ない。
「殺せ」
それだけ言うと、ダゴンは踵を返した。
後ろで、少年とは思えない叫び声が響く。
「あン?」
ダゴンが振り向くと、練習用であろう刀を持ち、佇む少年がいた。
少年の目の前には血を流し、倒れた兵の姿がある。
いくら油断していても、クトゥルフ兵を子供が倒すことなど出来るのだろうか。
否、不可能だ。
ダゴンは玩具を見つけた子供のように目を細める。
「クヒャ、ヒャヒャヒャハァ!! おもしれェ餓鬼だな。いいぜ、オマエを生かしておいてやる。だから次までに力を蓄えておけ! オマエは俺様が直々にじっくり殺してやるからよォ!」
笑いながら去って行くダゴンを見て安堵したのか、少年はその場に倒れ、気を失った。
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