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グレンは学生寮の天涯付きのベッドでシャツをグッショリと濡らしていた。
内容は思い出せないが、とてつもなく恐ろしい夢を見たのだ。
グレンは体を起こし、辺りを見回す。
部屋には学校に着くまでのバスの中で知り合った友人、マイアスの寝息だけが響いている。
「……ッ!?」
(いてえ……!)
突如頭に強い痛みが走り、グレンは再びベッドに倒れ込む。
催眠術でもかけられているかのように目の前がぼやけ、そのまま眠りに落ちた。
『……ん、入学式が始まります。講堂に集まりなさい。繰り返します……』
校内放送が耳に届き、グレンは跳び起きた。
「お、起きたのか」
マイアスは既に制服に着替え、入学式の準備は完了しているようだ。
「早く準備しろよ、入学式に遅刻は避けたいだろ、グレンも」
「当たり前だろ、ってかなんで起こしてくれなかったんだよ!?」
放送によるとあと十分で入学式が始まるらしい。
「俺はな……これから出会うだろう女の子達とどんな話をするのかシュミレーションしてたんだよ」
いたく真面目な顔でマイアスが語る。こいつはそういう奴なんだとバスの中で嫌というほど見せ付けられた。
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