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「しらねーよ、お前の妄想劇場なんて」
マイアスに茶々を入れた後、グレンは汗で濡れたシャツを脱ぎ、制服を身に纏う。
マイアスがうしろで感嘆のため息を漏らしていることについては敢えて触れるつもりはない。
「いやはやグレン、お前ってなかなかこう……イデッ!」
「馬鹿なこと言ってねえで急ぐぞ!」
グレンはマイアスの襟元を掴むと、一息で学生寮を飛び出した。
「ちょ、お前ここ二階……」
マイアスが悲痛な叫びをあげるも、時すでに遅し。
グレンはマイアスを掴んだままで転げ落ちた。
「うおおおお!!」
「バカグレンてめぇ!!」
下の道では桃色の髪の少女が走って上がった息を整えているところだった。
「どいてくれぇあああ!!」
「はぁ、はぁ……え?」
ギャグ漫画のような盛大な音をたてて、グレン達は少女に突っ込んだ。
「きゃあああっ!!」
そのまま地面を転がる。
「いっ……て」
グレンはぶつかった相手に謝ろうと痛む身体を起こした。
入学式前に相手に怪我でもさせては大変だ。
「だ……大丈夫か?」
グレンは目を回してしまっている少女に声をかけた。
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