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「へ……あ?」
グレンに肩を揺すられて少女は薄く目を開いた。
少女の目にグレンの姿が写る。
「あっ……! ごめんなさい、急いでたから……気付かなくて」
先に謝られたからか、グレンはばつのわるそうな顔をして、
「こっちこそごめんな、危なく入学前に怪我させちまうところだったぜ。俺はグレン、で、こっちはマイアスだ」
「ううん、私はだいじょぶだから。私はネオン、よろしくね、グレン、マイアス」
「おう、よろしくな」
互いに右手を差し出して握手を交わす、とネオンの指には見慣れた紋章の描かれた金の指輪がはめられていた。
三本の剣と盾の紋章はアーカム連合国の軍隊、すなわち、ネクロノミコン、王立アーカム連合軍、セイレム戦乙女騎士団を統べる者を表す。
「ネオン……お前もしかして……」
「王家の紋章じゃん! すげーすげー!!」
いつの間に息を吹き返したのか、マイアスがネオンの指輪を見て騒ぎ立てた。
突然のハイテンションに着いていけなかったのか、ネオンは顔を赤くして俯いてしまった。
「騒ぐなよマイアス。……そうだ、急がないと入学式に遅れちまう!」
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