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いつも通りの空に風、ようやく慣れてきたアルバイトを定時に終わり、のんびりとヒマをもて余す。これは光一にとって、至福の時と考えている。願わくは、こんな時間が永遠に続けと思う。そんな事がありえないと分かっている。だから、考えてしまう。
気が付けば、僕は大学を卒業し、なし崩しにフリーターとなってしまったくらいだ。世界と いうの僕が考える以上に規則正しいものらしい。それでもなお、僕はこの至福の時を失いたくない。だからこそ、代償になるもの全て払うつもりでいる。
「まあ、そん時は、そん時だ」
太陽はまだ高く、気温は昼寝にちょうどよい。睡眠過多でも、アクビを止めることは出来ず、大きな口を開ける。
近くの公園で休もうか。なんともよいアイデアだ。決定。
公園へと向かう足が止まった。遠くの方からカタカタと音が聞こえてくる。工事?違う。大きくなっている。つまり、近付いている?おかしい。こんな音を立てる車なんてあったか?光一が近付く音の正体を確認しようとした時、黒い塊が走り去っていく。
唖然とした。おそらく、列車だ。線路が出てきて、消えるところをしかと見た。だからって、列車は空を飛ばないし、急に消えたりもしない。なんなんだ、あれは?混乱する光一の前にある男が立っていた。
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