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目の前に立つ男は、不思議だった。薄茶色で統一された見た目に帽子で顔を隠している。マントのような物も正直、季節にマッチした服装と言えず、不思議だった。何より、さっきまでいたか、この人。と思うくらい突然、視界に入ってきた。
男の右腕が動く。突然だ。突然で光一は半歩下がった。男の手には、薄い手甲のような物がある。どうするのだろうか。受け取ればいいのか。というより、受け取っていた。すると、カタカタと音が聞こえる。あの黒い列車がまた来る。音の方向からして戻ってくる。やっぱりだ。さっきと同じ場所を、光一と男の間を物凄い勢いで通り過ぎていく。通り過ぎた後、男の姿は無かった。
夢かと思うと夢じゃない。何せ受け取った手甲があるからだ。黄と黒で色付けされて、穴の秋かたからすると右手用だ。はめてみる。感覚はしっくりくる。手を動かしてみる。安全のようだ。ハラハラとカードが落ちていく。拾い上げる。この手甲に付いていたものだろうか。どもどこから?
1枚を確認してみる。真ん中に『ж』のような記号が書かれている。他にもあるようだ。
グラッ。突然の地震。膝をついて震動に耐える。揺れが治まる事なく、震動は大きくなる。しかし、周り人達は歩いている。それも平然に。いつも通りに
それでも震動は、大きくなる一方だった。
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