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「ああ~どうすんのかな~」
ため息をついて考える。この世界は『クウガ』と呼ばれる未確認生命体により、守られていた。しかし、その『クウガ』は今いない。そして、僕がいる理由。
「桜井は僕に何をさせる気なんだ?」
分からない。考えれば考えるほどに分からなくなる。黄と黒の手甲は、なんなんだ?疑問。疑念。疑惑。そもそも桜井侑斗という男、信じていいのか。
「リント」
重い響きの声。離れた場所に異形の人が立っている。顔に角が生え、何処と無くサイに似ている。
どうやら、僕に考える時間は無いようだ。サイの未確認生命体が前傾姿勢を取る。
走った。出来る限りの全力で。この状況じゃ、十中八九確実に僕は、殺される。さすがに分かるよ。必死に走って逃げるがサイの未確認生命体は、予想以上に速かった。間にあった距離は、あっという間に短くなっていく。
「くっそ」
光一は、左に跳んだ。サイの未確認生命体は、光一の右側を走り去っていく。
速すぎるサイの未確認生命体に対し、光一は逃げる事を諦めた。だから、避ける事に専念する。時間が経てば、警察が来て、助けてくれるかもしれない。幸い奴は前の動きは得意らしいが急な横の動きに対応しきれていない。時間は充分稼げる。
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