クウガの世界.1

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「はぁ……はぁ……」  避ける事に専念していた光一は、いつの間にか無人の廃工場に隠れていた。諦める事を知らないサイの未確認生命体は、未だに光一を狙っている。  ここに逃げ込んでからは、物陰に隠れ、未確認生命体の動きを観察しながら動き、光一の居場所は、悟られていないと思われる。しかし、このままではらちが明かない。消耗戦は、不利。だからと言って、生身の光一に勝算があるわけでもない。とにかく、機会を探していた。 ガタン………  乱雑に積み重なっていた箱が崩れ落ちる。光一の後ろで近づく足音。予想は、光一を裏切らなかった。  もう1人の未確認生命体。こっちは、亀に外見が似ており、鎖鉄球を引きづって、こちらに歩いてくる。  偶然。もしくは作戦。どちらでも良かった。最悪に最悪が重なっただけ。最悪には、変わらない。  亀の未確認生命体が鎖鉄球を振り回す。光一は、鎖鉄球を避けたが物陰としていた機械を吹っ飛ばされ、姿があらわになる。外へ逃げ出すが鎖鉄球が退路を潰す。2人の未確認生命体がゆっくりと歩き、サイの未確認が突進を始めた。  終わった。目を閉じた。 バン  銃声らしき音に目を開けた。未確認達が別の方向を見ている。青と黒の銃を持った青年がこちらへ歩いてきていた。
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