冬の序詞

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▽ 中に入ると、ほとんどの生徒がすでに登校していることを確認できた。 「あ!!! 唯~!頼む!手伝ってくれ!!」 すぐに話しかけてくる人がいた。 机に座って、必死でペンを動かす姿は、実にわかりやすい状況を示している。 「おはよ! 鷹、何してんの?」 「課題っっ!!! 手伝ってくれ!」 (まあ、何となくそうだろうと思ったけど…。) つまりは、そういうこと。 休み明けに、何人かはいるものだ。 こいつ、神崎 鷹は、まさにその通り。 サッパリした感じのいいやつなのだが、こいつはなかなかのお調子者なのだ。 課題とか係りの仕事とか、すぐに忘れる。 一応、友達の一人でもある。 オレは席に荷物を置いて、鷹の所に行く。 すると、隣の席からも声が発せられた。 「手伝わなくていいわよ。 鷹が部活ばっかりしてんのが悪いんだからね!」 鷹が課題に追われているのを知っているようだ。 …いや、見れば誰でもわかるか。 「うっさいな! 優李は黙ってろよ!! も~マジやばいんだってば!」 「何言ってんのよ! それ、自業自得でしょ!!」 「お前だって毎日ラケット振り回してるくせに!」 「あたし、あんたよりはしっかりしてるわ。」 「言ってろ! コノヤロウ!!」 朝からうるさい…。
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