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「あ、こんなとこにいた。さっくーん!」
図書室でじっくり本を読んでいたところに、いきなりそんな声がした。奈々が図書室にずかずか入ってきて、朔太郎を見つける。
「な……?」
「さっくん、ほら、行こ」
朔太郎から本を奪い取り、棚へ突っ込み、朔太郎の腕を組んで引っ張る。
「いや、待った。待て、待ってくれ」
「どうしたの?」
「まず、さっくんとかいうのは止めてくれ。あと、悪いが俺は君と付き合う気はない」
「あたしだって、付き合うならネル様とかの方がいいよ。悪いけど朔は……論外?男は30歳からだよね」
あっさり朔太郎も振られ、安心したような、裏切られたような感じになる。
「じゃあ、朝のは……?」
「言ったじゃん。あたしのバンドで歌ってって」
きゃは、なんて照れながら奈々が言う。朔太郎は脈絡のない言葉に混乱し、尚更、逃げたくなった。
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