436人が本棚に入れています
本棚に追加
「――帰らせた!?何でよ?」
篤樹のネクタイを掴んで連れてきた奈々がエイジに詰め寄った。すでに朔太郎が帰ってから50分が経過している。
「だってあの人、やる気なさそうだったし」
「悠馬、黙らないと黙らせるよ?」
にっこり笑った奈々に危険性を感じて悠馬が口を両手で押さえた。
「つか、奈々ちゃん。あの背ぇ高い人っしょ?」
篤樹が奈々の肩を揉みながら言う。
「知ってるの?」
「だって、あの背だし。目立つじゃん。で、何?奈々ちゃん、あの人連れてきて何させようとしたの?」
奈々の顔の横から、篤樹が顔を覗かせて尋ねる。その顔に奈々が握った拳の甲をぶつけて篤樹を離れさせる。
「アツ、いくらあたしが可愛くても発情しちゃダメだから」
「ちょーしに乗りすぎ。誰が奈々ちゃんみたいな暴力女……」
篤樹がぶつくさ言いながらドラムセットに座る。
「奈々は暴力女じゃなくて、乱暴なだけだろ!」
「悠馬、フォローになってないぞ」
エイジが冷静に悠馬に突っ込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!