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「アツ、エイジって何のバイトしてんの?」
ギターを担ぐ小柄な少年が傍らの少年に尋ねる。このギターの少年、名前は悠馬と言い、まだ中学生だ。減らず口と生意気な性格が、しばしば問題を起こす。
「知らね」
悠馬に言い返したのが、篤樹少年。こちらは高校一年生。ドラマーで、惰眠を貪るのが趣味のとんでも少年だ。口も悪ければ、態度も、頭までもが悪い。
「奈々、腹減った。飯行こ」
悠馬が少女に言う。彼女は幣原奈々。高校二年で、ロックに魅入られた女の子。髪の毛はミディアムショート。さほど背は高くない。平日の夕方からのライブということで、短い丈のスカートをした制服を着用している。
「ダメ」
「「えー?」」
悠馬と篤樹が不満に声を漏らす。
「悠馬はもっと音作りを勉強。篤樹はリズムキープが課題。こんな問題だらけでどうするの」
「いいじゃん、終わったんだし。な、悠馬」
「そうそう、アツの言う通り」
結託する二人。奈々が足を止め、彼らを睨みつける。悠馬はたじろぐが、篤樹は平然としていた。
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