436人が本棚に入れています
本棚に追加
『ねえ、眞鍋。ロックに興味ない?』
いきなり奈々が朔太郎に言い、手を握る。
『いや、あまり』
はっきり言うが、奈々は笑顔を保ち続ける。
『あるでしょ?あるよね?
あるって言えよ、このでくが』
笑顔はそのままで急に声が低くなり、朔太郎の手を握り潰そうとするように力を込める。
『……あり、ます』
そう答えざるを得ない。朔太郎がしかめっ面で答えると、奈々が満面の笑みになる。
『じゃあ、今夜付き合ってね。帰さないから♪』
『……今すぐ帰りたくなってきた』
『じゃーねー』
奈々が手を振り、駆けていった。ロマンチックなものなど、朔太郎は少しも感じられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!