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「おい」
聞き覚えのある声が耳に届くと同時に全身に広がる鈍痛。
「・・・おはよ。優」
「さっさと起きんかいこのクソったれ」
最近ではもうおなじみとなってしまったこの流れ。
いつからか目覚ましだけでは起きれなくなってしまった俺のせいで、生け贄となった弟からの暴行により、俺はベッドの下で完全に眠りから覚めた。
朝から弟に蹴り起こされる兄ってなかなかいないだろうな。
「鷹のせいで『飯食え』って母さんうるさいぞ」
こんな頼りない兄貴だからだろうか、最近では俺の名前である鷹臣から略して呼ばれるようになってしまった。
そんな細かいことを気にするわけではないけれど、ドラマとかによくでる『兄貴』に憧れなくもない。
「うん。すぐ行く」
とりあえずそう返事をすると優こと優貴は部屋から出て行った。
優は今年俺と同じ高校に入学した。
毎朝一緒に登校するので、これ以上寝ると真面目で遅刻を許さない優に確実に殺される。
だから俺はひとつ息を吐き、寝巻きであるスウェットをたたみ、ハンガーに掛けてある制服を着込んだ。
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