片想い

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幾度となく目をつむってきた。だからそろそろ慣れてきてもいいはずなのに、やっぱり涙が出そうになる。 「……ちょっと」 数分トリップしていると、女の子のほうが私に気付いてしまった。啓介君は私と目が合っても別に動揺したりしない。 「どうした菜月。今取り込み中だって分かるだろ」 啓介君に悪びれる様子もなく、私は「ごめんね」と言うとその場を立ち去った。 もしかしたらこの後、2人は結ばれるかもしれない。 そう思うと胸がきつくきつく締め付けられた。 こんな泣きそうな顔で教室に戻れるはずもなく、途方にくれながら裏庭に出る。 風が頬をつたう涙にあたって少し冷たい。だけど乾かしてくれるからありがたい。こんな風に、報われない片想いもどうにかしてくれたらいいのに。
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