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第三話【由美の好奇心】
「ねぇ、聞いた?」教室に入り席に着いた悠理に【前の席の女生徒】が話しかけてきた。彼女の名前は【華原由美(ゆみ)】悠理とは、3年間ずっと同じクラスで【仲良しの友人】だ。
「聞いたって何を?」悠理は首をかしげる。「となりのクラスに、ソフト部のキャプテンがいるでしょ?」
「あぁ、田口さんだっけ?」悠理は彼女のことを思い出してみる。「たしか、部活の後輩にかなり厳しいって評判だけど、その田口さんがどうかしたの?」「それがさ、最近同じクラスの男子と付き合い始めたみたいよ」
「へぇ、そうなんだ」「あたしも、彼氏ほしいなぁ」由美は、そう言ってため息をつく。「そのうち、きっと出会いがあるよ」悠理は由美を慰める。
「悠理は、近くに相手がいるでしょ?」「相手ってだれ?」
「ほら、【副会長の雄大】とか、【幼馴染みの滋君】とかさ」由美はそう言って前のめりになって悠理に近付く。
悠理は少しだけ考えて「それはどうかなぁ」と、曖昧な返事をする「なんで?」「だって雄大君は、友達だし、滋は弟みたいなもんだし」悠理はそっけなく答える。
「じゃあ、あの二人は【恋愛対象】にならないんだ?」由美は少し残念そうな顔をする。
「でもさ、むこうの二人は、悠理のことを想っているかもしれないよね?」
「それは、分かんないけど」悠理は少しだけうつむいた。その時、授業開始のチャイムが鳴った。
教科書を出しながら、悠理は考える。(滋は私のことをどう想っているのかな?)
悠理も、滋のことが気になりはじめていた。授業が終わって、休み時間の時に悠理は、『今日、一緒に帰らない?』と、メールを書いて滋の携帯に送信した。
滋の返事は『放課後、待ってるよ』だった。
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