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第四話【ツンデレ彼女】
『スパコーンッ!!』教室でうたた寝をしていた、【櫻井賢治】の後頭部を何者かが襲う。勢い余って、机に顔面を打ちつけた、彼のダメージは、計り知れない。
「くう~っ」痛みで声の出ない賢治の襟首を【広瀬渚】は、掴んだ。「こっち来なさい。いくら、自習でも寝かさないわよ」彼女は、問答無用で彼を廊下に連れ出した。
渚が賢治を目の仇にしているのはクラスの皆が知っていたが、今日は一段と酷かった。
「なぁ、他に考えあったろ?」「あれで、いいのよ」教室を抜け出した二人は【廊下でキス】をしていた。「俺達が付き合ってる事をクラスの連中が、知ったらどんな反応するかな?」「その時は、皆の目の前でキスしてあげる❤」「大胆だな…」「今だけ、たくさん甘えさせてね?賢ちゃん❤」「はいはい」
二人の密会をクラスメイトは誰一人知らない。
「あれは、廊下で、キスしてるわね。間違いない」由美の洞察力に、悠理は、「考えすぎだよ」と、彼女をたしなめるが、「じゃあ、何でその場で、注意せずに、廊下に連れ出すのよ」「…それは」悠理が答えに詰まった時、教室に二人が帰って来た。二人の頬は、ほんのり赤く染まっていた。
「あの二人、犬猿の仲を演じた、バカップルってもっぱらの噂よ。ま、恋愛の形は人それぞれだけどね」由美は、大袈裟に溜め息をはいた。
(…恋愛の形か。私と滋なら、どんな、恋愛になるのかな?)普段考えるはずもない、恋愛を真面目に悠理は考え始めていた。
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