真実の宮殿

3/14
前へ
/270ページ
次へ
何度か来たことがあるが、久しぶりに来ると、懐かしいような気すらしていた。 「おはよう。」 仁のすぐそばから声が聞こえる。 何度も仁に話しかけてきたそれ。 闇に飲み込まれそうになった時も、何度も説得をしてくれた声。 仁は声のした方を振り返る。 「やぁ、神谷仁君。」 そこには少し長めの銀髪の男がいた。 白装束を身にまとっている。 スーツと言うべきか。 男は、仁をにっこりとほほ笑みながら見ている。 悪い印象はなかった。 「・・・あんたが助けてくれたみたいだな。ありがとう。」 仁は俯きながら礼を言った。 「いいんだよ。君にはまだやることがたくさんあるんだ。当然の事をしたまでだよ。」 男は一人用のソファーを呼び出して座った。 ソファーも真っ白だ。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加