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それをみて、ゼファーはしばらく笑っていた。
仁は若干恨めしく思った。
仁が思わず睨んでいるのに気が付いたゼファーはなおも笑いながら言った。
「あはは、ごめんごめん。こんな冗談のためにちょっと歩かせちゃったね。本当は歩かなくても移動できるんだけどね。」
それならそうで早く連れて行ってもらいたかったものだ。
この手の冗談は意外と面倒くさいし、手に負えないのだ。
仁はゼファーの発言には一切答えず、しばらく睨んだ。
仁は思った。
こいつは苦手だ、と。
「さ、今度は本当に僕の部屋に行こう。客人を招くのは100年振りくらいだからね。ゆっくりしていってくれ。」
それは部屋に着いてから言うセリフな気もするが、あえて突っ込まなかった。
「さ、手を取って。」
そう言って手をゼファーは差し伸べた。
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