110人が本棚に入れています
本棚に追加
どんどん深い闇に落ちていく。
『いや・・・。いっそのこと全部忘れよう。そうすれば苦しまないで済む・・・。傷つくこともない。もう、何も抱えないで気楽に時の流れに身を任せればいい・・・。』
仁は思念体として、この世から消え去ることを望んだ。
だが、仁に話しかける男がそれを許さなかった。
『駄目だ。君には家族だっている。大切な仲間だっている。君がこのまま消滅するなら彼らはどうなる?突如君の存在はなくなる。君は存在しなかったことになるんだぞ?』
深い闇に落ちていく中、そんな声が脳内に直接語りかけてくる。
『いいんだ・・・。それで皆が救われるなら・・・。もう、眠らせてくれ・・・。』
『君の存在をとても大切に思っていた人がいたらどうする?忘れきれずに記憶が残る場合もあるんだぞ?その人は絶対に心に深い傷を負う。』
最初のコメントを投稿しよう!