110人が本棚に入れています
本棚に追加
『そうだ。君にはまだやることがある。彩乃ちゃん、君の事を待ってるよ?』
ふと突然出てきた妹の名前。
『・・・彩乃?なぜ、彩乃が?』
『いやね、君が消滅したいと強く願うものだから、君が消滅した場合の並行世界ができちゃったんだ。』
苦笑い。
きっと声の主はそれを浮かべているんだろう。
声の感じでなんとなくわかる。
『・・・その世界の彼女は君をずっと待ってる。兄妹の仲は切っても切れないからね。記憶が残ったまま消滅したんだよ。彼女は悲しんでいる。君以外に救える人はいない。』
仁は闇から引きずり出される感覚を覚えた。
『彩乃・・・。そうか・・・。俺は初めから戦う道しか残されていなかったんだな・・・。』
『彩乃ちゃんを救うには、君自身の帰還。つまり、アレクシアとの宴を終わらせる必要がある。・・・わかるね?』
最初のコメントを投稿しよう!