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「あの……遼?お前一体何を……」
「なにボーっと突っ立ってんですか直樹」
「え?」
「さっさと塩持ってきてください、塩」
「え、塩?え?」
「一回で理解してください」
なるほど、やっとさっきの不可解な行動が理解できた。
遼に体をはらわれながら舞白は心の中で首を縦に振った。
つまりあれだ、私の体の穢れという穢れを取り除こうとしているんだな。
遼はきっと颯を人間とは見ていないんだろう、穢れの塊とでも思っているんだろうか。
舞白は遼と颯の仲の悪さを改めて思い知り、その中にぶち込まれた自分自身に悲観した。
そんな舞白の心境もいざ知らず、遼は舞白の両肩をがしっと掴んで背をかがめて舞白と同じ高さの目線で顔を覗き込む。
「大丈夫ですか?」
真剣な顔で問いかけられるが、舞白は呆気にとられたままだ。
もっと怒られるかと思った。
だって遼の予言通り私は遼から離れてしまった、まるで猫のようにふらふらと。
それなのに
「大丈夫って……」
「ケガとかありませんか?何もされていない?」
あれ、怒るどころか、なんか心配されてないか?
あれ、遼ってこんなに優しかったか?
「いや、別に何もされてないが……」
「そうですか、よかった」
遼は舞白の返答に満足したのか肩から手を放す。
こんな優しい遼の姿を見るのは久しぶり、いや初めてかもしれないと舞白は目を丸くしながら少しどころじゃなく失礼な事を思った。
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