4295人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、直樹、塩は?」
再び直樹に遼の思考が向けられた。
直樹は、いきなり向けられた鋭い刃に動揺してまごつく。
「いや、とりあえず此処には無いと思うんだけど、塩は……」
「まったく……使えないですね」
「そもそも此処でその子に塩かけるのもどうかと思うよ……?」
「まぁそうですね。仕方がない、家に帰ってからにしましょう」
どうしても塩はかけるんだ。
そこは譲らないんだな。
遼は、ぽかんとしている舞白の方に振り向き、直樹を手で指し示しながらいつもの天使の笑みを顔にはりつけた。
「紹介が遅れましたね。これは俺と同じ学科の友人(仮)、井上直樹です」
「へーいちょっと待ってくれい。(仮)ってなんだよ、俺達友達だろ!?」
「え、そうだったんですか。それは初耳ですね。俺としては、人間以外の生物と友人になった記憶はないんですが」
「え、俺人間として認識されてないの?それこそ初耳なんだけど」
「自分を人間だと思っていたんですか?なんとも可哀想な……」
「やめてぇぇっ!哀れな目で俺を見ないでぇぇっ!」
……なんとも変な友好関係だな。
しかし何故だろう、直樹さんの方に同情してしまうのは。
舞白はそんな自分に少し悲しみながら、微笑ましく二人を、遼を見ていた。
遼はとても楽しそうだ。
きっと、本当に直樹さんを信頼しているんだろうなと思う。
そもそも、遼が信頼していない人間をパーティーにつれてくるはずがないのだ。
舞白は、遼にここまで信頼できる友人がいることに驚き、それ以上に嬉しかった。
、
最初のコメントを投稿しよう!