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「遼……っ!」
舞白の制止も聞かず、遼は舞白を力ずくで引っ張りベッドに投げ飛ばした。
抵抗をする暇も無く舞白がベッドに倒れこむと、遼は一時の時間も与えないまま舞白をベッドに押さえ込む。
いくら遼が細いと言っても20歳近くの男と女では力の差は歴然。
ましてや体が弱く遼以上に細い舞白が遼に力で勝てるはずもないのだ。
「遼、待っ……んっ!」
抑えられながら乱暴に重ねられる唇。
荒々しいキスにはただ怒りしか含まれておらず、その中に愛なんて感じる事ができなかった。
遼の怒り任せのキスは、舞白には恐怖しか感じられなくて。
「あっ……んん!」
息をもつかせぬほど深くなっていく。
底無し沼のようにどんどん深く。
舞白の目の前に、舞白の知っている遼はいない。
そこにいるのは怒りに任せて突き動く、いつもでは考えられないような遼。
「いやっ……!」
舞白の悲鳴は遼の耳に届かず、恐怖に歪める舞白の顔すら遼の目にはうつっていない。
こんなの、遼じゃない……っ!
舞白は精一杯抵抗して、何とか遼の拘束から逃れた右腕を振り上げ、力の限りで遼の頬を打った。
乾いた音が部屋に響く。
ベッド以外何も置かれていない単調なその部屋はまるで世界がとまったかのようにしんと静まり返った。
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