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花田が死んで三日が経った。
人が死んだという虚無感は
膿んだ傷跡のようにいつまでもそこから動こうとはしなかった。
クラスの奴らは誰もそれに触れようとはしなかったし、花田と仲の良かった女子は度々学校を休んだ。
今日もそうだ。
まるで映像を見ているような、フワフワした感覚……
宙を歩いているような………
「後藤くん!!!」
振り返ると片瀬がいた。
「何……」
「前!…階段!!」
ふと足元をみるとつま先の数センチ先には段差があった。
ひゅうっと心の中に冷たい空気が流れ込むような感覚に襲われる。
「後藤くん…ぼーっとしてたから………」
「………ありがとう」
片瀬は眉間にしわを寄せ、僕に近づいてきた。
「うん……今日さ…一緒に帰らない?」
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