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葉はすべて散ってしまい、めっきり寂しくなってしまった街路樹の横を無言で歩く。
一緒に帰ろう。そういったわりに、片瀬は言葉を発しようとしなかった。
僕は大きな欠伸をひとつすると、冷たい手を制服のポケットに突っ込んだ。
黙々と歩いているうちにあの公園――あの朝花田と待ち合わせをした公園を通りかかった。
「………っ…」
ふと隣に目をやると片瀬は肩を震わせ泣いていた。
いつから泣いていたんだろうか。
めぐ…めぐ……
そう呟きながら片瀬は何度も嗚咽を漏らした。
「………」
僕は無意識に片瀬の頭を撫でていた。
片瀬が落ち着いたころには日は落ちて、薄暗い空気の中街灯だけがぽつんと光っていた。
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