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『そんなに怒らなくたっていいじゃない』
ぷうっと頬を膨らます。
『ねぇ……』
哀願するような響き。
僕は返事もしないでただ黙々と帰路を歩いた。
だが、彼女は本当によくしゃべった。
こんなに花田の声を聞いたのは…まぁ当たり前なのかもしれないが初めてだ。
女には喋るノルマがあるらしい。
前に読んだ本に……いや、テレビだったっけか?
とにかく聞いたことがあるんだ。
女という生き物は、毎日喋るノルマ以上に喋らないとストレスが溜まってしまうとか何とか。
だとしたら花田がたくさん喋るのも納得がいく。
1日のノルマのベクトルが全て僕に向けられているのだから。
『無視なんて酷い。あんまりよ。那智くんの馬鹿!』
とうとう喋るだけじゃ飽きたらず叫び始めた。
叫んだら喋ることよりノルマの消費量が増えるのだろうか。
そうじゃなかったらいい迷惑だ。
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