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「……っ!!!!」
勢いよく体を起こす。
「………花…田?」
ピピピピ…ピピピピ……
枕元の携帯が小煩い電子音を撒き散らす。
携帯を開く。
11月09日
AM.6時31分
受信メール一件。
ぢゃあ、明日7時に第一公園で待ってます😃
「那智-。時間よ、起きなさい」
一階から母の叫び声が聞こえる。
僕は慌てて布団から出て着替えると、一階に下りて簡単に朝食を済ませた。
部屋に戻り荷物をかばんに詰め込む。
机の上には週末課題の数学のプリントが無造作に置いてある。
大問3の(2)……
(2)の下に答えのみを書き入れ、鞄に詰め込んだ。
いってきます。
珍しくそう言って家を出る。
6時50分。
11月にも入ると急に寒くなるが、今朝はそれほど寒いと感じず、ほんの少しの違和感を抱きつつ、僕は第一公園への道を急いだ。
公園が見える。
花田の姿が見える。
久しぶりに制服姿の花田を見た。
僕の歩調はだんだんと速くなっていく。
花田……
花田……
花田……
何て声を掛けようか……
あと20メートル。
花田が僕に気付く。
手を振る。
昨日メール返せなくてごめんな。
この間は約束に遅れてごめんな。
花田…
花田…
花田…
あと10メートル。
はっきりと花田の顔が見える。
にっこりと微笑む花田。
僕は少し小走りになって花田の方へ向かった。
軽く手をあげ、頭の中で何度も復唱した言葉をようやく口にする。
「花田おは…」
「那智くん危ないっ!!!」
パッパ──────
派手なクラクション。
右手前方から大きな物体が突進してくる。
その瞬間、僕の身体はヘッドライトの眩しい光に包まれた。
ふわり。
ふわり。
ふわり。
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