11月08日

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「あ…のっ……那智くん…」 振り返ると隣のクラスの女子。 「あ?」 生返事をする。 確か花田とかいうその女子は視線を泳がせながら、重い口を開いた。 「あの…ね…?……えっと……あたし、那智くんのことがす…好きです……もしよかったら…付き合ってくださいっ……!」 花田は僕の足元ばかりを見つめながら、頬を赤く染めた。 去年同じクラスだっただけのその女子は当時と少しだけ印象が違った。 「……あぁ……うん……別にいいけど…」 どうせ彼女とかいないし。 まぁそこまでほしいとも思わないんだけど。 花田は伏せていた顔をいきなり上げ、目を見開いた。 「ま…マジ…??」 「は?」 「いや……だめだと思ってたから……」 花田は綺麗に切りそろえられた前髪に手を添え、目を伏せた。 「そうなんだ。じゃあ俺帰るから。」 向きを変え再び階段を下り始める。 「あ……!ちょっと待って…」 花田が慌てて僕を呼び止める。 「あたし、那智くんのアドレス知らな…い……」 おどおどしながらしゃべるその仕草が少しうっとうしかったので僕はテキパキとポケットから携帯をとりだし、花田の方にむけた。 「はい。赤外線でいい?」 「あ…うん!!」 花田はクマだのウサギだのがジャラジャラとついた携帯を開いた。 「俺送るわ。」 「あ、はい…!」 携帯の画面に送信完了の文字が現れる。 「ん。じゃあ、帰るわ。」 「……ありがと…」 携帯をポケットにしまい、僕は三度階段を下り始めた。
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