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私は彼にもらった婚約指輪をじっと見つめていた。一粒ダイヤはわずかな光のなかでも光を反射して内側から輝く。
「永遠じゃなかったの?ずっとって言ったじゃない」
部屋の明かりをつける気力もなくただ涙を流していたら、不意に明かりがついた。母親が立っていた。母親は私に近づいて膝をつき、私の頬に手を当ててこう言った。
「お葬式、行くのやめておきなさい。忘れられなくなるわ。まだ若いのよ。次の幸せのためにも、お葬式は行かずにおきなさい。あなたのためよ」
私は母親に彼からもらった婚約指輪渡してこう言った。
「預かってて…」
そのとたん涙が一気に溢れだした。母親が私を抱きしめたら、私は声を出して泣くことを、ガマンできながった。
28歳だった。
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