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そして、今日もまたジュンを救えなかった私がいました。
《ジュンがまた襲われた》
王子からの電話で現状に気付き、今すぐにでも王子とジュンの加勢に行こうと携帯を片手に走り出しました。
………“ジュンを救いたい”。
正直なところ、この感情は偽善から生まれたものでしょう。
“仲間として助けたい”などという綺麗な理由ではなく、
“過去の償い”をしようとしているのです。
それに気付いたのは、
ジュンが襲われている現場を目撃してしまったからでしょうか。
泣き叫ぶジュン。
欲望に満ちた表情をしている集団。
汚く、
はかなく、
妖艶に。
そんなジュンを目の当たりにして、昔の私を思い出しました。
それからでしょうかね。
ジュンへ過保護になったのは。
「今どこですか!?
すぐに向かいます!!」
声を荒げて、電話越しの王子へ言葉をぶつけました。
早く………、
早く行かなくては………!
苛立ちと焦りで携帯を強く握り締めました。
その瞬間、王子からとんでもない言葉が投げ掛けられ、私は動いていた足をゆっくりと止めたのです。
《俺様の番犬が全員片付けた》
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