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エリカに見送られ走って校門を出ると、駅に向かって歩く佐々木の後ろ姿を見つけた。
数メートル前で足をとめ、髪を手で直しながら息を整える。
これで偶然っぽく声をかければ完璧。
「先生、今帰りですか? 偶然ですねぇー」
しかし佐々木は振り向きもせず、スタスタ歩いて行く。
「あ、あれっ? 先生?」
無視?
無視ってなにごとよ!
むっっとして、佐々木の前に回り込んだ。
「先生っ!」
「あ、小野寺さん」
佐々木はごく普通の顔をして耳のイヤホンを外した。
なんだ音楽を聞いてたのか。
「さっきから呼んでいたのに……」
「ごめんごめん。それよりこれつけて」
「は? は?」
佐々木は外した片方のイヤホンを私の耳つけた。
ちょっとー!?
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