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真新しい紺色のブレザーに袖を通し、進学校で名の通る私立南方高校の校門を緊張しながら通りすぎる。
今日から高校生。
体育館での入学式が終わり教室に入ると、クラスメイト達は早く友達を作ろうとハイテンションでしゃべっていた。
(ヤバイ、出遅れた。このままじゃあぶれる)
同じ中学の子が一人もいない私はあせった。
どのグループもアドレス交換が始まっていて、もう入っていけない雰囲気だ。
どうしよう……
誰かが声をかけてくれる事を祈りながら席につくと、前の席に座っている子が振り向いた。
「このクラス、四中が誰もいないんだよね。サイアクーっ」
「あ、私も同じ中学の子がいないんだ」
「まじ!? じゃあ友達になろうよ。私、大谷エリカ」
「小野寺 果菜だよ」
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