キリサキ・ブレイド

5/10
前へ
/94ページ
次へ
 キリサキの目の前。横断歩道の白線の上を、ヌメヌメとした不定形の物体が蠢いている。  数は十や二十では収まらないほどだ。  不定形の物体の名はスライムと呼ばれているが、決して鳥山明某がデザインしたようなコミカルな外見ではなく、むしろ巨大なアメーバといった様相だった。  全長が五十センチほどの薄緑のゲル状のボディ。中心には毒々しいほど赤いコアが浮かんでいる。    潰しても潰しても、どこからともなく沸いてくる人外の先兵。  国はこうしたスライムなどの対処を、精鋭揃いの国有機関ではなく民間の企業やフリーの掃除屋に委託している。  キリサキは、そうした業務を請け負うフリーの掃除屋であった。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加