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キリサキの目の前。横断歩道の白線の上を、ヌメヌメとした不定形の物体が蠢いている。
数は十や二十では収まらないほどだ。
不定形の物体の名はスライムと呼ばれているが、決して鳥山明某がデザインしたようなコミカルな外見ではなく、むしろ巨大なアメーバといった様相だった。
全長が五十センチほどの薄緑のゲル状のボディ。中心には毒々しいほど赤いコアが浮かんでいる。
潰しても潰しても、どこからともなく沸いてくる人外の先兵。
国はこうしたスライムなどの対処を、精鋭揃いの国有機関ではなく民間の企業やフリーの掃除屋に委託している。
キリサキは、そうした業務を請け負うフリーの掃除屋であった。
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