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この東京に出現する人外の種類はレベルEからレベルSまで分類されており、スライムのようなタイプはレベルEに分類される。
民間企業が受け持っているのは最高でもレベルDまでの駆除であり、レベルCは国有機関で一個分隊。民間企業であれば十数人規模で相手にするべき固体であった。
当然、キョーコのサポートがあるといってもキリサキ一人で相手になる固体ではない。
「なぁ、キョーコ。お前は早く退け。俺もすぐ追いかける」
『ちょっと、馬鹿なこと言わないで』
腕に装備されている小型マイクに向かって、キリサキは声を吹き込む。その声は普段と変わらなかったが、キョーコの語調は悲痛に満ちていた。
キリサキの周囲を囲むスライムの数は、一向に減る様子が無い。
考えたくは無いことだったが、このスライム群はレベルCからの魔力供給で再生しているらしかった。
そうなれば、レベルCを倒さなければスライムの数を減らすことなど出来ない。
「早く退け、奴らはまだお前に気づいてない」
片手でカトラスを振るいながら、キリサキはマイクに向かって怒鳴る。しばらくの沈黙が続いた後、キョーコのいつも通りの冷静な声が響いた。
『――――五分だけ持ちこたえて。機関に連絡を入れたから』
「オッケーだ。五分なんて、余裕だぜ」
言って無理にでも笑顔をキリサキは作るが、その笑顔は長くは続かなかった。
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