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「ちっ……」
夜の交差点、動き回って火照った体を寒気が撫でる。
空気の密度が何倍にも薄まった気がした。ひどく息苦しい。
「カカkカカッaaakakakakakakaaaaaaaaa」
声、ともいえないような不協和音が響く。スライムの群が割れ、ぼろぼろの黒い僧衣を引きずって、レベルCは現れた。
僧衣から覗く体は白骨。
タイプC、骸僧(がいそう)といわれる固体だった。骸僧は魔力に秀でた固体であり、レベルDやレベルEの固体を使役しての戦いを得意とする。
しかし耐久能力は低く、キリサキでも攻撃がクリーンヒットさえすれば勝機は無いわけではなかった。
「とは言っても、どうやって近づく?」
骸僧の周囲は、スライムたちががっちりと固めているし、第一キリサキは飛びかかってくるスライムに対処するだけで手一杯だった。
「畜生っ!」
苛立ち共に振るったカトラスであったが、角度が甘かったのだろうか。スライムのスパイクにはじかれ、刃が欠けてしまう。
「くそっ!!」
カトラスを投げ捨て、続いてキリサキがダウンジャケットの中から取り出したのは、短槍であった。
「いやぁっ!!」
飛びかかってくるスライムを短槍で一気になぎ払うが、埒があかなかった。加えて魔力の供給源である骸僧が近くにいることで、スライムの能力が総合的に向上している。
タイマンなら負けることも無いが、なんせ数が違いすぎた。
徐々に、キリサキは押されていく。
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