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窓から見えるのは、ただ青い、雲一つない空だった。
「んっ……ふわぁ」
その空を眺めながら、少年はあくびをする。そして、まだ成長途中の体をいっぱいに伸ばして、朝のまどろみから頭を覚ましていた。
大陸一の高所である我が家は、窓を開けばいい風が入ってくる。少年はしばらく自身の短めの銀髪をなびかせ、風を感じていた。
「バース、そろそろ教会へ向かう時間ですよ」
しばしの静寂は、母親の声に破られる。少年――バース・ホワイトは、声のしたキッチンの方を振り向くと、少年らしい快活な声を掛ける。
「母さん、今日は下界もいい天気なんだってさ」
浮遊大陸・ヴィリブサーク。大地を引き裂き、空に浮かぶこの大陸は、生命の輪廻を全て「聖母ルイン」の手に委ねている。大陸に存在を許される生物はもちろん、天気すら操り、聖母は空の楽園を作り上げていた。
その偉大な力の代償として、聖母ルインは大陸の中心に位置する聖地・サンクチュアリに立てられた塔から離れる事が出来ない。しかしルインには、自身より活発な『目』があった。
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