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ミリアもコウヤも葉を切り刻み、自分達の周りに山が出来そうなくらい練習した。
しかし、なかなかコツが掴めず悪戦苦闘している。
「………」
ミリアは手に持った葉としばしにらめっこ。それが終わると、いつの間にか木陰で寝ているクロノスに歩みを向けた。
「クロノス……起きて下さいクロノス!」
ゆっさゆっさと体を揺さぶり、クロノスを起こす。
「……ふぁあ……なに?できた?」
欠伸をしながら起きたクロノスは、目の前にいるミリアに眠たそうな目を向ける。
「クロノス、何かコツはないんですか?これじゃ、日が暮れます」
ぺたんと、クロノスに向き合うように座る。
「そんな事言われてもぉ~……」
クロノスは欠伸をかみ殺しきれず、最後が変な声になったが、ミリアは気にしてないようだ。
「何かないんですか?わかりやすく!簡単な!コツは?」
言葉を募るに従って、ミリアはクロノスに接近する。
「近い近い。そうだなぁ……」
ミリアを押し戻し、数秒考えるとやおらにてを取るクロノス。
「く、クロノス?!」
突然手を握られ、紅くなりながらミリアはされるがまま。
「あいたっ!」
突如額にデコピンされ、赤くなった。
「何するんですかっ!」
じんじんと痛む額に手を当て、クロノスに怒鳴り散らす。
「……お前はさ」
ミリアの言葉を聞かずに口を開くクロノス。
その表情は驚くほど凪いでいて、真剣そのもの。
さしもミリアは、その真剣さに意気を奪われ、大人しくなる。
「お前さ、人を頼りすぎだ。俺だっていつも近くにいる訳じゃないしさ。少しは『自分の力』でやり遂げる事を覚えた方がいい」
ミリアの手を離し、くしゃりと頭を撫でる。
「………で、でも!ちょっとくらいいいじゃないですか!」
ミリアは、どうしてか震える声を絞り出すように言い募る。
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