魔法の修行とダンスの修行?

9/28
前へ
/154ページ
次へ
日がだんだん暮れてくる。辺りが夕焼けで赤く染まる。 クロノスはコウヤから離れ再び木にもたれて、成功するのを待っていたが未だに来ない。 「……今日はここまでだな」 クロノスは2人を呼び、また明日やると告げる。 コウヤはまだ続けたいと文句を言ったが、クロノスの殺気を感じ大人しくなる。 ミリアに至っては目前と頷くだけで、言葉は発しない。 「2人とも今日の成果は?」 最後に確認とばかりにクロノスは出来具合を見せるよう言う。 「まだ……こんなのしか……」 ミリアが俯き加減で見せてきたのは、楕円形に切れた葉。馬の胴体を模したものだろうか。 「コウヤは?」 ミリアのを一瞥してコウヤにも提示するよう、促す。 「…………これ」 しばしの沈黙の後、コウヤは細長い葉を出す。 「……うん。まあ、明日頑張れ」 形容しがたい表情でクロノスは2人を励まし、その場を解散させる。 2人が部屋へ向かうのを後ろからみていると、とぼとぼ歩く、という表現に限る。それほど、1日で出来なかった事が悔しいらしい。 「今日はよく休めよ!……コウヤ、明日の午後はもう一つの方やるから」 分かれ道、クロノスは2人に声をかける。最後の一言はコウヤだけに聞こえるよう、意気を潜めたが…… それぞれが、部屋に入りベッドへダイブ。 コウヤは魔力の使いすぎ、ミリアはクロノスからの叱責による緊張、そしてクロノスは教えるという、今までにない『任務』をこなした気疲れのせいだ。 そのまま夜はふけ、修行1日目は終わった。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2151人が本棚に入れています
本棚に追加