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日がだんだん暮れてくる。辺りが夕焼けで赤く染まる。
クロノスはコウヤから離れ再び木にもたれて、成功するのを待っていたが未だに来ない。
「……今日はここまでだな」
クロノスは2人を呼び、また明日やると告げる。
コウヤはまだ続けたいと文句を言ったが、クロノスの殺気を感じ大人しくなる。
ミリアに至っては目前と頷くだけで、言葉は発しない。
「2人とも今日の成果は?」
最後に確認とばかりにクロノスは出来具合を見せるよう言う。
「まだ……こんなのしか……」
ミリアが俯き加減で見せてきたのは、楕円形に切れた葉。馬の胴体を模したものだろうか。
「コウヤは?」
ミリアのを一瞥してコウヤにも提示するよう、促す。
「…………これ」
しばしの沈黙の後、コウヤは細長い葉を出す。
「……うん。まあ、明日頑張れ」
形容しがたい表情でクロノスは2人を励まし、その場を解散させる。
2人が部屋へ向かうのを後ろからみていると、とぼとぼ歩く、という表現に限る。それほど、1日で出来なかった事が悔しいらしい。
「今日はよく休めよ!……コウヤ、明日の午後はもう一つの方やるから」
分かれ道、クロノスは2人に声をかける。最後の一言はコウヤだけに聞こえるよう、意気を潜めたが……
それぞれが、部屋に入りベッドへダイブ。
コウヤは魔力の使いすぎ、ミリアはクロノスからの叱責による緊張、そしてクロノスは教えるという、今までにない『任務』をこなした気疲れのせいだ。
そのまま夜はふけ、修行1日目は終わった。
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