テスト

2/9
前へ
/154ページ
次へ
翌日、クロノスは扉が叩かれる音で目を覚ました。 「………ふぁあぁ……だれ?」 眠い目を擦りながら、クロノスは外れていた眼帯をつけ、適当に髪を梳いてから扉を開ける。 「遅い!朝一番って言ったのクロノスじゃん!」 朝からリサの渇が飛ぶ。 「………りさ……?………ああ!テストかぁ」 寝起きだった為、頭が働かないがなんとかリサのいる理由を思い出した。 もちろん、リサの後ろにはコウヤとラン、それに眠そうなミリアがいた。 「……リアンは?」 クロノスは手招きして、4人を部屋に入れながら最後の1人の行方を尋ねる。 「ここ~」 呑気な声が中から聞こえる。 「魔法使ったな。大した距離じゃないだろうに」 クロノスは着々と身支度を整える。 その間、みんなはソファに座りリアンがお茶を振る舞っている。 「どこでテストってやるの?」 ランは着替え中のクロノスに話し掛ける。 「んあ?ああ、俺ん家」 「クロノスの家?」 少々くぐもった返事が返ってくる。 「ご両親に迷惑じゃありませんか?」 家と聞いて心配したミリアが話に入ってくる。 「大丈夫、いないから」 鏡の前で髪を結いながら、クロノスは何でもないようにいう。しかし、ミリアは複雑な顔をした。 「………ごめんなさい。嫌な事、聞いちゃいました」 しゅんとするミリア。そこに準備を終えたクロノスが驚きながらくる。 「何謝ってんだ?うちの親は、何年か前に旅に出ていないだけ。死んでないぜ」 てっきり、死んだとばかり思っていたのでこの返事にはリアン以外が驚く。 リアンはと言うと、険しい中に悲しさが織り交ぜられたような表情をしていた。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2151人が本棚に入れています
本棚に追加