テスト

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クロノスの炎がリアンの氷を溶かし、水蒸気に変える。 それにより、クロノスの回りは霧に覆われる。 「……視界が悪い内に攻めよう!」 ランが言い、みんなその返事を行動で返す。 「【風脚】木枯らし!」 ランは中級魔法で風を足に纏わせて、スピードを上げる。 「【魔雷弾】!」 ミリアが雷属性の魔力で弾を撃つ。水蒸気に帯電させるのだ。 ダンダンダンッ 3発分の発砲音。ついで、霧がバチバチと電気を纏う。 その中にランが飛び込む。体に魔力を纏わせて、電気から身を防いでいるので感電はしない。 ガン!ギン! 霧が晴れる数秒間に、金属がぶつかり合う音がする。 「やああぁぁ!」 ランが気合いを入れて刀を振り下ろす。 キイイィィィン…… 相手の得物が弾かれた。 ランは直ぐに首に刃を近づけ、動けないように脅す。 「……俺の勝ちだ、クロノス」 ランの台詞直後に霧が完全に晴れ、相手の姿がはっきりする。 「あれ?なんで、コウヤがいんの?」 ランの刃の先にいたのはコウヤであり、標的であるクロノスはいない。 「ランこそ……俺、確実にクロノスと戦ってると思った」 「………俺もだ。肝心のクロノスは?」 ランは刃を引き、コウヤと周りを見るがクロノスの姿はない。 「……どこ行った……」 ランとコウヤは背中合わせになる。 「コウヤ?!あんた、こんなとこで何してるわけ?!」 離れた場所からリサの叫びが聞こえた。 (待てよ……リサは不振な事を言わなかったか?コウヤは俺の後ろにいるはず) ランはリサの声がする方を睨む。 「!?」 目線の先には、目を回し己の武器で服を壁に止められたコウヤの姿。 「ククク……甘いな、ラン。こういう時は相手が化けているかもしれないから疑うのが常だ」 声はコウヤ。しかし、ランの振り向く先にはクロノスがいた。 「しまっ」 「【迅風錬】」 ランはクロノスの魔法によって、飛ばされ壁にぶつかりそのままダウン。 「やれやれ……」 クロノスは頭を横に振り、残念がっている。しかし、態度とは裏腹に顔は楽しそうだった。
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