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物語は、急に始まる。
と良く言われるけれども、本当にそれは急になものだった。
それはある日。僕こと武田友晴は、暇を持て余したあげく散歩へと出ることにしたのだけれど……
それは、路地を出て直ぐの神社の鳥居の前で起きていた。
「むむっ!私に何かご用意ですか?」
「何かご用意じゃねーだろ!何かじゃ!」
角刈りにグラサンの男は、遠目からでも分かるほど眉間にシワをよせ、目の前にいる僕と変わりない歳の女の子と睨み合っていた。
「てめぇ、これ見ろよ!」
グラサンの男は、そのスーツに着いた染みを指差す。
概ね少女とぶつかりコーヒーか何かをスーツへとぶちまけたのだろう。
僕は、内心ご愁傷様……等と唱えながらも少し暇が潰せるかもと思い歩くペースを落とした。
「むむっ!?それがどうしたのですか?……」
「どうしただと!?お前がボーッと突っ立ってふらふらと歩いてきたと思えば、ぶつかっててきたんだろうが!」
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