意気地無し

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「やり直しだ!」 オフィスに部長の怒鳴り声が響いた。俺は返された資料を手に自らの席に戻った。同僚に同情の目で見られる事も部長に怒鳴られるのも日課だった。 「またかよー。植原部長って佐伯にばっか怒るよなぁ。」 「はぁ……俺が何やったんだよ……。」 俺の上司である植原部長は俺と同期でありながら、優秀でエリート街道まっしぐらの男だ。ノンフレーム眼鏡は綺麗な顔を知的に見せていて、スーツもそれを引き立てていた。 「今日は飲みに行くかー!」 そんな俺と植原はそれほど接点はなかった。そして、植原が俺の上司になったと同時に植原によるいびりが始まったのだ。恨まれるような事はしてない……気がする。 いつか、復讐してやろうと信念を燃やしている時だった。俺は思わぬ形で植原部長の秘密を知ってしまった。
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